学生情報/小泉ふゆか/2013年度プログラミング学習に関する質問紙調査

2013-11-13 (水) 22:50:32 (1472d)

学生情報/小泉ふゆか

目的

 本調査では、プログラミングを必須のスキルとして学ぶ学生が、プログラミングに対してどのような意識を持っているかを明らかにする。
 観点としては、

  • プログラミング信念(プログラミングとはどのようなものか、という考え)
  • 自己効力感
  • プログラミング不安
  • 授業内/外での、プログラミングに関する自己効力感・動機付け・学習方略

    に着目する。

方法

 公立はこだて未来大学(以下、本学)の学部生280名を対象とした質問紙調査を実施した。
 質問紙項目は、

  • プログラミング信念
  • 自己効力感
  • プログラミング不安
  • 授業内/外での、プログラミングに関する自己効力感・動機付け・学習方略

について全42項目で作成した。
項目作成にあたっては、以下の尺度を参考に、一部語句を変更して使用した。

  • 数学信念(犬塚, 2013)
  • 愛教大コンピュータ不安尺度(平田, 1990)
  • 特性的自己効力感尺度(成田ら, 1995)
  • Motivated Strategies for Learning Questionnaire(Pintrich & DeGroot?, 1990)

また、フェイスシートでは、

  • 学年
  • 主観的好悪(好き/嫌い)
  • 主観的パフォーマンス(得意/苦手)

を尋ねた。

得られた解のうち、回答に不備のあるものを除いた259名を分析対象とした。

結果と考察

因子分析

得られた回答について、探索的因子分析(主因子法、プロマックス回転)を行った。
固有値の推移と得られた解の解釈可能性から、「第1因子:自信」「第2因子:意欲」「第3因子:学習方略」「第4因子:メタ認知」「第5因子:結果重視」の5因子が抽出できた。(表1)
また、因子間相関は表2の通りであった。

それぞれの因子とその相関関係を示すと、以下のようになる。

factor_img.png

表1:因子分析結果

第1因子第2因子第3因子第4因子第5因子
Q5プログラミングは得意ですか。苦手ですか0.804
C.4先生に指示された課題をうまくこなせると思う0.746
B.5"プログラミングに取り組む時、人に頼らないほうだ"0.703
B.4"プログラムを作ろうとする時、自分にそれが作れるかどうか不安になる"-0.703
C.1"授業で習ったプログラミングの知識について、理解できている"0.599
B.6教えたり教えられたりしながら友達と一緒にプログラムに取り組むことが多い-0.593
A.8プログラミングは難しい-0.584
B.2思いがけないエラーが起こった時それをうまく処理できない-0.556
B.7プログラミングの画面を見るとまったくうんざりする-0.505
Q4プログラミングは好きですか。嫌いですか。0.485
B.13"プログラミングの参考書やソースコードを読む時、その中でなにが重要なことか、うまく読み取れない"-0.474
B.9プログラミングをするような仕事に就くかもしれないと考えると不安になる-0.443
B.1自分が立てた作業計画はうまくできる自信がある0.412
C.2"ある授業で習ったプログラミングの考え方を、他のプログラミングの課題を解くときに生かせると思う"0.347
B.11"プログラミングは、得意な人に任せておけば良い"-0.772
B.10"自分が習っていないプログラミング言語を使っている人をみると、自分も早くそうなりたいと思う"0.718
B.12"プログラミングについて、もっと知りたいと思っている"0.710
A.9プログラミングができるかどうかはセンスで決まる。-0.300
C.5"課題に取り組む時、授業の資料や参考書、Webサイトから情報を集めようとする"0.660
C.8"課題に取り組む時、これまで習った関数やアルゴリズムをいろいろと組み合わせて考えてみる"0.552
C.10"授業のスライドや教科書等、先生が提供する資料を読んでいる時、すでに知っていることと関連付けようとする"0.463
C.6"課題に取り組む時、先生やTAが授業中に言っていたことを思い出そうとする"0.445
C.9"課題の解決に役立てるために、実現したいプログラムのポイントや必要なアルゴリズムを紙のノートやPCに書きだしてみる"0.386
A.4"仕事をする上で、プログラミング的な考え方は必要だ"0.656
A.3プログラミング的な能力や考え方は生きていく上で役に立つ0.650
A.2プログラミングでは色々な観点から解決方法を考えることが大切だ0.596
A.7関数やfor文などの書き方を暗記すればプログラミングができるようになる0.485
A.6プログラミングでは何が正しいかがはっきりしている。0.475
A.5"プログラミングで一番大切なのは、プログラムが動くかどうかだ"0.350

表2:因子間相関

自信意欲学習方略メタ認知結果重視
自信1.00
意欲0.461.00
学習方略0.370.521.00
メタ認知0.190.400.441.00
結果重視-0.36-0.25-0.15-0.091.00

回答者に関する基本データ(学年・主観的評価の割合)

回答者の「学年」と、主観的好悪(好き/嫌い)と主観的パフォーマンス(得意/苦手)の回答を組み合わせた「主観的評価のタイプ」について、それぞれの人数と割合を図1,2に示す。

#ref(): File not found: "grade_base.png" at page "学生情報/小泉ふゆか/2013年度プログラミング学習に関する質問紙調査"

#ref(): File not found: "eType_base.png" at page "学生情報/小泉ふゆか/2013年度プログラミング学習に関する質問紙調査"

学年(低学年/高学年)と主観的評価(好き嫌いと得意苦手)に関する分析

学年と主観的評価の関係

主観的評価の4タイプのうち、回答者数の少ない「嫌い得意群(n=4)」を除いた3群

  • 嫌い苦手
  • 好き苦手
  • 好き得意

と、

  • 低学年(1,2年生)群
  • 高学年(3,4年生)群

の2群について、カイ2乗検定を行った。結果、学年間では10%水準で有意傾向がみられた。[χ2(2)=5.86, p<.10]
さらに、残差分析を行った結果、「好き苦手」タイプについて、低学年群では期待値を有意に上回り、高学年群では有意に下回った。

grade_eType.png

学年による考え方やパフォーマンスの違い

低学年群-高学年群に分け、各質問項目(Dの項目を除く)の平均値を比較したところ、表3の項目について、有意差がみられた。
また、「人に頼る」という項目については、高学年のほうがあてはまる傾向にあったが、一方で「教えたり教えられたりしながら友達と一緒にプログラムに取り組むことが多い」という項目については、学年間での有意差がなく、どちらもややあてはまる傾向にあった。

これらをまとめると、学年ごとの傾向は以下のようになる。

【低学年】
プログラミング学習に対して意欲や期待が高く(B-3, B-10)、色々な解決方法を模索しながら(A-2)、得意な人に頼ることなく、友人同士で学び合いながら、最後まであきらめずに取り組む(B-5, C-7)傾向にある。
しかし、高学年に比べると、エラーや課題にうまく対応できない(B-2, C-4)。

【高学年】
色々な解決方法に取り組むよりは、友人同士での学び合いの中で、得意な人に頼りながら(B-5)、エラーや課題にうまく対応している(B-2, C-4)。
それでもうまくできない時は、得意な人に任せたり、課題のレベルを下げたり、諦めてしまう(B-11, C-7)。

表3:低・高学年群で有意差のあった項目

項目平均値t値
低学年高学年
A-2「プログラミングでは色々な観点から解決方法を考えることが大切だ」4.474.272.07 *
B-2「思いがけないエラーが起こった時それをうまく処理できない」3.893.661.78 +
B-3「プログラムがうまく動かないと一生懸命やろうと思う」3.693.362.29 *
B-5「プログラミングに取り組む時、人に頼らないほうだ」2.782.273.16 **
B-10「自分が習っていないプログラミング言語を使っている人をみると、自分も早くそうなりたいと思う」3.583.242.06 *
B-11「プログラミングは、得意な人に任せておけば良い」2.63.37-5.07 **
C-4「先生に指示された課題をうまくこなせると思う」2.62.82-1.78 +
C-6「課題に取り組む時、先生やTAが授業中に言っていたことを思い出そうとする」3.993.72.46 *
C-7「課題がうまくできない時、あきらめるか、簡単にできそうなところだけをやる」3.013.5-3.53 **

【考察】
これらのことから、次のことが考察できる。

低学年は、プログラミングに意欲・期待を持っているが、結果が伴わないという点では、「好き苦手」群が最も多い傾向と一致する。
このような学生は、様々な課題に取り組むうちに自分に合った解決方法を見つけたり、得意な人に聞いて理解することを身に付けたりして「得意」になるのではないか。
もしくは、いつまでも結果が伴わず「嫌い」になってしまい、得意な人に頼って解決するようになるのではないか。

また、高学年で、得意な人に頼る・任せる、という傾向がみられたのは、3年生で実施するプロジェクト学習の影響が大きいのではないかと考える。
そうだとすれば、3年生以上が一人で課題を抱え込まないようになるというのは、未来大特有の傾向ということになる。

主観的評価による考え方やパフォーマンスの違い

主観的評価(好き嫌いと得意苦手の組み合わせ)のうち、回答者数が少ない「嫌い得意」群(n=4)を除いた3群について、1要因3水準の分散分析と多重比較を行った(表4)。
結果を5つの側面ごとにみたところ、次のような傾向があった。

自信意欲

#ref(): File not found: "eType01.png" at page "学生情報/小泉ふゆか/2013年度プログラミング学習に関する質問紙調査"

#ref(): File not found: "eType02.png" at page "学生情報/小泉ふゆか/2013年度プログラミング学習に関する質問紙調査"

ほとんどの項目について3つの群間で有意差あり全ての項目について
好き苦手・好き得意間に有意差なし
学習方略メタ認知

#ref(): File not found: "eType03.png" at page "学生情報/小泉ふゆか/2013年度プログラミング学習に関する質問紙調査"

#ref(): File not found: "eType04.png" at page "学生情報/小泉ふゆか/2013年度プログラミング学習に関する質問紙調査"

項目ごとに異なる傾向項目ごとに異なる傾向
結果重視
すべての項目でいずれの群間にも有意差なし

表4:主観的評価の1要因3水準分散分析の結果

側面項目嫌い苦手好き苦手好き得意分散分析嫌い苦手-好き苦手嫌い苦手-好き得意好き苦手-好き得意
自信C-4 先生に指示された課題をうまくこなせると思う2.212.573.66*******
B-5 プログラミングに取り組む時、人に頼らないほうだ1.772.513.64********
B-4 プログラムを作ろうとする時、自分にそれが作れるかどうか不安になる4.614.273.52*******
C-1 授業で習ったプログラミングの知識について、理解できている2.653.374.08********
B-6 教えたり教えられたりしながら友達と一緒にプログラムに取り組むことが多い4.183.793.14*******
A-8 プログラミングは難しい4.764.483.75*******
B-2 思いがけないエラーが起こった時それをうまく処理できない4.313.823.00********
B-7 プログラミングの画面を見るとまったくうんざりする4.042.761.72********
B-13 プログラミングの参考書やソースコードを読む時、その中でなにが重要なことか、うまく読み取れない3.943.602.73**+****
B-9 プログラミングをするような仕事に就くかもしれないと考えると不安になる4.233.362.36********
B-1 自分が立てた作業計画はうまくできる自信がある2.092.172.69**n.s.****
C-2 ある授業で習ったプログラミングの考え方を、他のプログラミングの課題を解くときに生かせると思う3.313.964.36*******
意欲B-11 プログラミングは、得意な人に任せておけば良い3.602.712.48******n.s.
B-10 自分が習っていないプログラミング言語を使っている人をみると、自分も早くそうなりたいと思う2.883.763.70******n.s.
B-12 プログラミングについて、もっと知りたいと思っている2.864.224.47******n.s.
A-9 プログラミングができるかどうかはセンスで決まる。3.753.383.08**+**n.s.
学習方略C-5 課題に取り組む時、授業の資料や参考書、Webサイトから情報を集めようとする4.204.294.42n.s.n.s.n.s.n.s.
C-8 課題に取り組む時、これまで習った関数やアルゴリズムをいろいろと組み合わせて考えてみる3.133.713.92******n.s.
C-10 授業のスライドや教科書等、先生が提供する資料を読んでいる時、すでに知っていることと関連付けようとする3.153.514.02*******
C-6 課題に取り組む時、先生やTAが授業中に言っていたことを思い出そうとする3.694.003.81..n.s.n.s.
C-9 課題の解決に役立てるために、実現したいプログラムのポイントや必要なアルゴリズムを紙のノートやPCに書きだしてみる3.143.573.53**n.s.n.s.
メタ認知A-4 仕事をする上で,プログラミング的な考え方は必要だ3.473.853.88****n.s.
A-3 プログラミング的な能力や考え方は生きていく上で役に立つ3.233.913.66********
A-2 プログラミングでは色々な観点から解決方法を考えることが大切だ4.214.544.33**n.s.n.s.
結果重視A-7 関数やfor文などの書き方を暗記すればプログラミングができるようになる2.362.072.19n.s.n.s.n.s.n.s.
A-6 プログラミングでは何が正しいかがはっきりしている。3.313.173.05n.s.n.s.n.s.n.s.
A-5 プログラミングで一番大切なのは、プログラムが動くかどうかだ3.372.983.16n.s.n.s.n.s.n.s.
--A-1 プログラミングでは,答えを導き出すためのプロセスが重要だ4.234.454.25n.s.n.s.n.s.n.s.
--B-3 プログラムがうまく動かないと一生懸命やろうと思う2.903.684.19********
--B-8 間違ったコードを書いたら取り返しのつかないことになりそうなので、実行ボタンが押せない1.981.661.25**n.s.***
--C-3 複数の課題から課題を選んで取り組む時、たとえ手が掛かりそうでも、そこから何かを学ぶことができそうな課題を選ぶ2.603.133.81********
--C-7 課題がうまくできない時、あきらめるか、簡単にできそうなところだけをやる3.633.182.86*****n.s.

学習方略に関する分析

学習方略に関する基本データ(学習方略得点の算出)

「学習方略」因子に含まれた5項目

  • C-5 課題に取り組む時、授業の資料や参考書、Webサイトから情報を集めようとする
  • C-8 課題に取り組む時、これまで習った関数やアルゴリズムをいろいろと組み合わせて考えてみる
  • C-10 授業のスライドや教科書等、先生が提供する資料を読んでいる時、すでに知っていることと関連付けようとする
  • C-6 課題に取り組む時、先生やTAが授業中に言っていたことを思い出そうとする
  • C-9 課題の解決に役立てるために、実現したいプログラムのポイントや必要なアルゴリズムを紙のノートやPCに書きだしてみる

について、回答者内での合計値を算出し、これを学習方略得点(5点〜25点)とした。

例えば、すべての項目に「全くそう思わない(1点)」と回答した回答者の得点は、5点になる。

以下の表は、学習方略得点の基本統計量である。

表5:学習方略得点の基本統計量

最大値最小値中央値平均値分散標準偏差
25.0010.0019.0018.619.483.07

学習方略の使い方による考え方やパフォーマンスの違い

学習方略について分析するにあたり、学習方略得点そのものに着目するよりは、回答者内での分散に着目したほうがよいと考えた。

例えば、学習方略得点が同じ15点であっても、

  • 5項目全てに「どちらともいえない(3点)」と回答した場合
  • 2項目が「とてもそう思う(5点)」、2項目が「そう思わない(2点)」、1項目が「まったくそう思わない(1点)」と回答した場合

では、学習方略の選び方や使い方が異なるといえる。

そこで、回答者内での項目ごとの分散を求め、分散の大小で群分けを行った。

  • 分散が大きい回答者:特定の方略をよく使い、それ以外は使わないタイプ
  • 分散が小さい回答者;どの方略も均等に使うもしくは使わないタイプ

分散の大きい群と小さい群でt検定を行った結果をまとめると、以下の様な傾向がみられた。

【どの方略も均等に使うタイプ】 学習方略得点の平均値が、全体の得点の平均(18.61)より高いことから、こだわりなく色々な方略を使うタイプである。
さらに、特定の方略をよく使うタイプ(分散の大きい群)に比べてプログラミングが得意で、自信の面でも高い値が出ている。

【特定の方略をよく使うタイプ】 学習方略得点の平均値が全体の得点の平均(18.61)を下回っている。
均等に使うタイプに比べて、自信が低く、結果重視の傾向である。
また、エラーが出た時にうまく対処できない。

また、学習方略の項目のうち、「C-5. 課題に取り組む時、授業の資料や参考書、Webサイトから情報を集めようとする」のみ、分散の大小による差がみられなかった。
すなわち、使用する方略が限定された学習者でもこの方略は使っていることがわかる。

分散の大きい群/小さい群でのt検定結果について、5%水準で有意差のあった項目を表6に示す。

側面項目平均値t値
自信Q5 プログラミングは得意ですか、苦手ですか2.071.812.55 *
C-4 先生に指示された課題をうまくこなせると思う2.852.582.18 *
B-5 プログラミングに取り組む時、人に頼らないほうだ2.732.352.34 *
B-2 思いがけないエラーが起こった時それをうまく処理できない3.613.93-2.43 *
B-1 自分が立てた作業計画はうまくできる自信がある2.492.093.56 **
学習方略C-3 複数の課題から課題を選んで取り組む時、たとえ手が掛かりそうでも、そこから何かを学ぶことができそうな課題を選ぶ3.362.883.77 **
C-6 課題に取り組む時、先生やTAが授業中に言っていたことを思い出そうとする4.013.702.61 **
C-8 課題に取り組む時、これまで習った関数やアルゴリズムをいろいろと組み合わせて考えてみる3.853.284.97 **
C-10 授業のスライドや教科書等、先生が提供する資料を読んでいる時、すでに知っていることと関連付けようとする3.893.175.98 **
C-9 課題の解決に役立てるために、実現したいプログラムのポイントや必要なアルゴリズムを紙のノートやPCに書きだしてみる3.912.986.90 **
メタ認知A-2 プログラミングでは色々な観点から解決方法を考えることが大切だ4.484.262.32 *
結果重視A-5 プログラミングで一番大切なのは、プログラムが動くかどうかだ2.983.32-2.23 *
-B-3 プログラムがうまく動かないと一生懸命やろうと思う3.763.323.12 **
-C-7 課題がうまくできない時、あきらめるか、簡単にできそうなところだけをやる3.083.40-2.26 *
-学習方略得点19.9117.466.95 **

自主学習に関する分析

自主学習経験の有無による考え方やパフォーマンスの違い

「D-1これまで、自分で目標を決めて自主的にプログラミング学習をしたことがありますか」の項目について、
「1:ある」「2:ない」の2群に分けて、Q4〜C-10の計34項目でt検定を行った。

結果、ほとんどの項目で有意な差がみられた(表7)。
10%水準で有意傾向のあった2項目と、有意差のみられなかった6項目を見ると、「結果重視」の側面に該当する3項目全てが含まれている(表8)。

これらのことから、自主学習経験の有無は、プログラミングの自信や意欲、学習方略、メタ認知等には大きく影響するが、
「結果重視」の考え方にはあまり影響しないことがわかった。

表7:有意水準ごとの項目数

有意水準1%5%10%n.s.
項目数24226

表8:自主学習経験の有無で、有意差のなかった項目

側面項目ありなしt値
自信B-1 自分が立てた作業計画はうまくできる自信がある2.352.240.86 n.s
学習方略C-6 課題に取り組む時、先生やTAが授業中に言っていたことを思い出そうとする3.883.830.44 n.s
メタ認知A-4 仕事をする上で,プログラミング的な考え方は必要だ3.883.631.91 +
結果重視A-5 プログラミングで一番大切なのは、プログラムが動くかどうかだ3.083.20-0.73 n.s
A-6 プログラミングでは何が正しいかがはっきりしている3.133.23-0.63 n.s
A-7 関数やfor文などの書き方を暗記すればプログラミングができるようになる2.022.30-1.81 +
-A-1 プログラミングでは,答えを導き出すためのプロセスが重要だ4.304.33-0.24 n.s
-C-7 課題がうまくできない時、あきらめるか、簡単にできそうなところだけをやる3.163.29-0.87 n.s

正課/課外それぞれの場面における考え方やパフォーマンスの比較 †

「授業課題に関する学習(授業内)」 と「自主的な学習(授業外)」 
それぞれの場面における、自己効力感・動機付け・学習方略に関する10対の項目について、
対応ありのt検定を行った。

結果、有意差のみられた2項目を表9に示す。

【考察】 結果をまとめると、授業の課題の一部として、難しいが学びがいのあるような課題を選択肢に含めても、学習者はより簡単な方を選んでしまう可能性がある。
しかし、そのような学習者でも、授業外で自主的な学習として取り組むのであれば、難しい方の課題に取り組もうとする可能性がある。

また、授業中に先生やTAから得た学びを、自主的な学習の場面に応用することができていない。
先生は、プログラミング一般に通じる知識や考え方を説明しているつもりでも、
学生は、今取り組んでいる言語や課題に対応する知識や考え方として捉えてしまっているのかもしれない。

例えば、アルゴリズムとデータ構造で習うような問題(スタック等)は、
問題を解く都合上、C言語という言語を題材として採用し、アルゴリズムを学んでいるに過ぎないが、
学生は、アルゴリズムの問題=C言語、と考えてしまっている場合がある。

自主的な学習の場面でも、授業で得た学びを応用できるようにするためには、
「一般的な事柄か」「その言語・課題に特有の事柄か」が、よりわかりやすいように声掛けしていけると良いかもしれない。

表9:授業内/外における意識について有意差のみられた項目

項目平均値t値
授業内授業外
【授業内】複数の課題から課題を選んで取り組む時、たとえ手が掛かりそうでも、そこから何かを学ぶことができそうな課題を選ぶ3.373.77-3.68 **
【授業外】たとえ手が掛かりそうでも、そこから何かを学ぶことができそうな目標を立てて、その課題に取り組む
【授業内】課題に取り組む時、先生やTAが授業中に言っていたことを思い出そうとする3.883.354.15 **
【授業外】自分で立てた課題に取り組む時、先生やTAが授業中に言っていたことを思い出そうとする

添付ファイル: fileetype02.png 263件 [詳細] fileetype01.png 245件 [詳細] fileetype_graph.png 247件 [詳細] filegrade_eType.png 524件 [詳細] filefactor_img.png 456件 [詳細] fileev04.png 251件 [詳細] fileev03.png 242件 [詳細] fileev02.png 251件 [詳細]